漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
今日、9月15日は仲秋の名月である。ススキを飾り、団子を供えてのお月見は中国から平安貴族に伝わった風習のようだ。ススキを稲穂に見立てた収穫祭の一つである。庶民まで拡がったのは江戸時代らしいが、高い年貢に苦しんだ農民に団子を作る余裕はなかったろう。野良仕事を終えての家路、やけに明るい。「そうか、今日は十五夜だー」で終わり。
百姓の生活で嫌な事が3つ。
「田植え、田の草、かぶ団子」。2つは過酷な労働。一枚の田んぼの仕事を終え、次の田んぼに移る時は這って移動する。畦道に立って腰を伸ばしたら、次の田んぼの仕事がいやになってしまう。
貴重なお米を使って団子なんか作れない。かぶを丸くけずり団子に見立てる。それが主食にもなる。
落語「長屋の花見」のひと幕。黄色い沢庵は卵焼き。大根の香香は蒲鉾である。
最後は明るく。
観智院名誉住職、土屋光道上人から教えを受けた。「明の字は、日と月が1つになるから明るいと考えてきたが、日の字は太陽ではなく窓である。」
窓から月の光りが家の中に届いて、部屋も明るくなる。月光を利用した様々な営みがあったろう。金子大栄師に「月夜遠方の友をお憶う 我月光となりて友を訪れる」と言う句がある。