多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
私は決して猫嫌いではない。
幼少の頃は毎晩一緒に寝ていたし、私の布団の中でお産を始めたこともあった。通常猫は何処かでこっそり子を産み、しばらくしてから見せに来るものだ。
我が家には「猫のひたい」程の庭があり、バラ、山法師、紫陽花、ドウダンツツジ、ホウズキ、水仙などを育てている。
用足し時に穴を掘る猫さまにとって、我が家の地べたは心地よいのであろう。
自宅の舗装庭を避けて、我が家に不法(?)侵入して来る。落語なら「猫が自分のひたいでウンチをしてる」、で笑えるのだが。
お隣りの猫さまは、夜も家の中に入れてもらえないようで、玄関の外に置かれた箱が自宅らしい。
家主に、「本当に猫好きなんですか?」と、尋ねてみたい気さえする。
隣人とは友好関係があるし、生きものに罪はないので、後片付けのボランティアを長いことしていたのだが、きりがないので忌避剤を撒き、猫避けレイザーを設置した。
五代将軍徳川綱吉の時代だったら、私はきっと猫島(日本三大猫島は、田代島、青島、相島)に島流しになるのだろう。
悪法で有名な『生類憐みの令』だが、実際に罰せられたのは意外に少なく、70名に満たないと言う。
下っ端の役人には、「天下の法だが、ちょっとやり過ぎ?」と言う人もいて、結構見ぬふりをしていたらしい。
落語「鹿政談」は、誤って鹿を殺してしまった豆腐屋を、慈悲深いお奉行が助けようとする噺しである。
見逃す目的で奉行が誘導尋問をするのだが、馬鹿正直な豆腐屋はそれに気づかず、本当のことを供述し続ける。
裁く奉行と裁かれる豆腐屋のやり取りが楽しいので、興味のある方は聴いて見て下さい。
脱線しました。
数々の対策を講じたのだが、猫さまの活躍は止まないので、網を張って侵入を阻止することにした。
家に有ったツバメ保護用の網と材木を使い、コストと言えば炎天下に流した私の汗と、蚊に上げた少しの血液だけで、猫のひたい程の庭はあっと言う間に囲われた。
花木が見づらくはなったが、しばらくは我慢である。