お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
私は温泉好きである。でも若い頃は、「風呂なんて垢を落とせばいいんだから、わざわざ高い金を出す事はない」と、温泉好きの皆さんをせせら笑っていた。
田舎の家から車で5分くらいの所に、美笹温泉があった。
帰省中に腰の骨を折り入院した。退院後のリハビリを兼ねた温泉通いがきっかけで、「温泉は温泉️、最高だー!!️」と、考えが変わった。
数年前、経営難からなのか温泉が閉められて、私の家の価値も下がった。
東京の家の近くに「かたくりの湯」がある。
かたくりの群生地があることからの命名で、時々出掛けている。
ある日のこと、ガラーンとした洗い場で、20代の若者が、父親と思しき男性にシャンプーをしている。背中の流し合いはよくみる光景だが、幼子以外でシャンプーは滅多にない。
要介護者さんと介護人か?。でも顔つきは似ているし、、、。
何時もの空想が始まる
「親父さんにシャンプーか、偉いなー。」
「俺には機会が無かったなー。」
「どんな躾をしたのだろうか?。」
普通父親と男子は、大なり小なり確執を持つことが多いが、、、。
次はお決まりのコースで、背中を流し始めた。
お父さんは気持ち良さそうな表情。
「だよなー。」
あ、待てよ。孫と爺ちゃんかも知れないぞ。
どちらにしても感心だ。今の若いもんも捨てたもんじゃない、、、。
何て暫く空想して、湯船からふと顔を上げると、出口付近でご老人は身体を拭いてもらって、上がる準備である、
「え、そこまで」
子にしろ孫にしろ、温泉よりホッコリ、ホッコリで、いい湯であった。