お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です
「絶唱」と言う映画をご存じだろうか?。
私が舟木一夫の崇拝者と言うこともあり、これまでに何度も観た映画だが、最近偶然テレビでお目にかかった。
古くは舟木一夫と和泉雅子、新しくは三浦友和と山口百恵が演じた(新しくはないか)、山陰地方を舞台とする、大地主の後継ぎ順吉と貧しい山番の娘小雪との、純愛悲恋物語である。
身分の違いを理由に、周囲から様々な妨害にあい、駆け落ちして愛を育む二人。
しかし順吉が戦争に召集されている間に、小雪は結核を患い死んでしまう。そして二人は生まれ故郷に帰る。
白無垢の花嫁衣裳を身に着まとった、小雪の亡骸を抱えた順吉は、二人を繋いでいた「木挽き唄」を歌いながら、山に分け入って行く。
このラストシーンが特に有名である。
でも私は、「結婚式と葬式を一緒に」と言う、順吉の台詞に魅力を感ずる。
原作者大江賢次はこの台詞の中に、「生死一如」をこめたのかも知れない。
最近依頼を受けたご葬儀、ご法事の中で、「蓮のうてなの御詠歌」を唱えさせて頂くことが多い。
「先立たば おくるるひとを 待ちやせん
はなのうてなの なかばのこして」
最後の「なかばのこして」では、胸がつまることも度々である。
「先に逝くけど待ってるね。」
逝く人にとっても、送る人にとっても、何と希望に満ちた歌であろうか。
世に歌は数多けれど、これ程明るい歌が他にあるだろうか。
合掌十念