多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
残暑お見舞い申し上げます。
時期的に残暑とはいえ、今年は梅雨明けが遅かったのと、記録的な猛暑日が続いて、まだ夏本番と言った方が良さそうだ。
私は元来炎天下の行動には慣れている。
小さい頃は炎天下での農作業を一日中させらたし、社会人になってからは、郵便配達を生業としたので、ズボンが汗の塩分で白くなったりもした。
自宅の直ぐ裏に700坪程の農地があり、沢山の種類の野菜が栽培されている。
今だと、モロヘイヤ、ナス、キュウリ、オクラ、里芋、ネギ、明日葉、トマト、ピーマン、獅子唐、落花生、などなど。
当然一種類あたりの耕作面積は小さいく、換金率も低そうで、「専業農家の経営形態では無いな」なんて、農業科卒業の血が騒ぐ。
現に農作業をしているのは、年齢が私と同じ位のご婦人独りだけである。
この方がパワフルで、炎天下にトラクターを運転して作付けのための整地、苗植え、除草、収穫と、早朝より独りで働いている。
時々話しをするのだが、最近言いたくて言えない事がある。それは、「落花生の除草をお願いします」である。
落花生の発芽時からずっと観察しているのだが、最近は雑草が邪魔して、花後の成長が見づらい。
ご存知の方も多いと思うが、落花生は受粉後1ミリ程の細い子房柄が、地面に向かって進捗する。やがては地下に潜り、地表から約3、4センチの場所で鞘を作り実を結ぶ(地下結実性)。変わった植物である。
子房柄も地面に着く頃には多少太くなり、色も褐色に変化し逞しくはなるのだが、モグラのように土を掻く足があるわけでは無く、4センチも潜るパワーは凄い。
地上部の背丈は30センチ位、黄色の花は1センチ位と小さく、花後を考えて地面近くでひっそりと咲く。
高校時代、自宅で落花生を栽培したことがあったが、受粉後の、子房柄の成長を観察しなかったので、今他人の褌(ふんどし)を借りている。
落花生は地上より地下の方が、外敵から実を守り易いと考えて、とんでもないエネルギーを使う。
ところが頑張って潜った地下も無敵ではなく、コガネムシの幼虫などが待っている。
落花生は、地豆、南京豆、ピーナッツなどの別名を持つが、その名前を悪用した人達がいる。
昭和51年に発覚した、米国製飛行機の受注を巡っての大規模汚職事件で、「ピーナッツ」は賄賂の隠語として使われた。
ちなみにピーナッツ 1個は100万円で、500個食べた政治家もいる。
悪事を地下に潜らせるために、ピーナツの名前を使うなんて、洒落てはいるがダメです。
実を守るために懸命に潜る、落花生に対して失礼です。