漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
この夏とある宴席で「雑草」が話題となった。そこで自論(実はテレビ番組の受け売り)を展開した。植物の分類上、「 雑草」の概念は曖昧らしい。例えば人参畑に牛蒡の芽が出たら、それは雑草である。逆に牛蒡畑に人参の芽が出たら、そちらが雑草となる。
人参畑と牛蒡畑が並んでいたら、境界は「雑草」と「野菜」の分かれ目となる。
ある方が真面目に、「人参畑に出た牛蒡の芽を、貴方はどうしますか?」と尋ねられた。
一瞬つまって、咄嗟に「人参畑の牛蒡の芽を抜いて、隣の牛蒡畑に移植して上げる。」と応えた。「さすがー!!」と座は盛り上がった。
人参畑の牛蒡を「雑草」の烙印から救ったと一瞬思ったのだが、それこそが「雑草」の概念に捉われている結果であった。
「雑草魂」と言う言葉がある。彼、彼女らはたくましい。
発芽能力を保持したまま、何十年も地中で眠る(埋土種子集団)。
作物の根をはりやすくするために、時々土を深く耕す。天地返しと言う。
その時、地中深くで眠っていた種が、地上近くに現れて、発芽の三要素が揃うと、「いざ鎌倉」となる。
ヒメムカシヨモギは1個体で、数十万個の種子を生産する。
私は農家の生まれだから、雑草被害の大きさは知っている。
日本には雑草学会があり、農業の生産性を高めるために、雑草対策を研究している。
しかし雑草も、私たちの生存を可能にする、環境保全には役立っている。
明日から多聞院の屁糞葛が、愛しくなるかも知れない。