お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
私は昭和24年の生まれ。貧農の長男で、小さい頃から労働予備軍としてハードに使われた。時代の趨勢でもあったが、週末は必ず田畑に出ていた。
学校も罪なもので、「田植え休み」、「稲刈り休み」を用意する。その分夏休みが短い。土曜日の夜は決まって、「明日は雨になりますように」と祈る。煎餅布団に潜る時、激しい雨音がしていて、翌朝お天道様が元気に現れたら愕然とする。
荷物と一緒に車に積まれ、5キロも山奥の畑にむかう。車はダットサンのオート三輪車。親戚から貰ったポンコツで、故障は多いし雨後の急坂は登らない。
「皆んな降りて押せー」と、親父の檄が飛ぶ。「登るなよ、登るなよ
炎天下や寒風の中で嫌々働いて、昼食後は今朝裏切らたお天道様に向かって、「早く西に動いて沈んで下さい
繰り返し空を見上げるのだか、こんな時はお天道様も牛歩戦術を使い親に味方する。暗くなるまで働いて、家に帰っても豪華な夕食は待っていない。母親はこれから台所に立つのである。
もし私に忍耐力が有るとしたら、こんな生活の産物であろう。
晩節をおくるための家を、20数年前にその畑に建てた。