多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です
突然ですが、『花色』とは何色だと思いますか?。ある会合で尋ねたら、ピンク、黄色、赤が多かったです。
黒を除いて全ての色があると言われる花ですが、イメージとしては妥当なところでしょうか。
落語の演目に『花色木綿』が有る。
間抜けな泥棒、住人、大家さんが織りなす滑稽な噺しだが、盗品リストの作成過程の中に、古典的な知識がふんだんに盛られて、大変勉強になる噺しである。
例えば、蚊帳(一張り)、箪笥(一棹)、刀(一振り)などの数え方が語られが、今の若い人達には死語の世界かも知れない。
『花色木綿』とはツユクサで染められた薄い藍色の木綿生地のこと。従ってこの場合の花色は青である。
「花」と「色」の間に「の」を入れると面白い展開になる。
「花の色は移りにけりないたづらに
わが身世にふるながめしまに」 小野小町
有名な歌だが、読んだだけで何色か判るでしょうか?。
実はこの場合の花は桜で、従って色は白ないし淡いピンクである。
「桜』と想像がつきやすい歌もある。
「願わくば花の下にて春死なむ
その如月の望月のころ」 西行法師
「直接桜とは詠まないが、春、如月、望月とくれば分かるよね」、ってのが詠み人の希望のようだ。
「匂いで分かってね」と言う歌もある。
小野小町の祖父、小野篁公の歌で梅を題材にしている。
「花の色は雪にまじりて見えずとも
香だににおえ人のしるべく」
雪に隠れて花は見えないが、咲いている場所を人が気がつくほどに匂って欲しい。
日本の歌を感動をもって理解するには、どうも知識と経験が必要なようだ。
写実的に表現してしまうと、感動が薄まるってこどでしょうか。














