お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
小学校の恩師、丸山先生がお隠れになってから三年が経つ。
奥さまの承諾のもと、日々供養させて頂いているが、僧侶の身の有り難いところである。
小学校の卒業が近づいて、
「6年間お世話になった先生に何かを贈ろう」と、皆んなで決めた。
古きよき昭和である。
贈り物の資金は焚き木を売って、自分達で工面することになった。
学校の休日、同級生と連れ立って山に入り、一生懸命に枯れ枝を拾った。
その後リヤカーに積んで、村の中を売り歩いた。1回目は同級生の家で全部買ってくれた。
狭い村内でのこと、こんな計画が秘密裏に進むわけがなく、直ぐに父兄からストップがかかってしまう。
「先生に対する気持ちは分かるが、山に入ることや売り歩くことは、危険を伴うのでやめなさい。記念品代は親が補助する」との御達し。
資金のめどもつき(多少不本意)、記念品は電気釜と決まった。
先生は結婚を控えていだが、子供の発想とは思えないので、親が口を挟んだのかも知れない。
残念なことに、記念品を受け取った時の、先生の表情を憶えていない。
ほとんどの同級生が声をからして、いつまでも号泣していたことは鮮明である。
その後先生は、中学生に成った私達をグループ分けして、実家に二泊三日で招いてくれた。
「焚き木拾い」の御返しであったかも知れない。
10月1日、2日で同級会があった。
同級生とは不思議な存在である。五十年ぶりの再会でも、その歳月を一瞬に飛び越えて、会話が途絶えない。
10月2日は奇しくも、先生の命日であった。
追善追福増上菩提報恩謝徳 至心十念
合掌 龍譽正俊