お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
古い話である。中学校から引きずり続けた、英語に対する劣等感からの解放を目指して、ある日突然始めた英会話。頑張った甲斐もあり、一定のレベルには達した?
が、ここで終わったら、中学の同級生に並んだだけである。
「そうだ、アメリカに行こう!」と思い立つ。
郵便局の職場には語学留学と嘘を言って、三週間の有給をまとめて申請する。三流官庁だったが、当時公務員が国を出るためには、大臣の許可が必要であった。郵便配達員が持ち出すかも知れない国家的機密とは、、、?。腹を抱えて笑ったものだ。
1ドル300円台の時代だが、知り合いに頼んだ安いエアーチケット、グレイハウンドバスの乗り放題、海外旅行誌「地球の歩き方」の三点を
小脇に、「アメリカが俺を呼んでいる️」と調子に乗った。
飛行機はハワイ経由で日本人ばかり。ハワイから本土に向かう時は、私が唯一の日本人となり段々心細くなる。追い打ちをかけるように、飛行機のエンジントラブルなのか、滑走はすれども飛び立たない。「もう一度やって見ます」の機内放送に、「体育の授業じゃあるまいし」と呆れる。次も失敗して、その後かなりの時間を置き、3度目はどうにか飛び立った。この間乗客は誰も文句を言わず、成功したら全員で拍手喝采である。目指す国は大らかだと、又々思いこむ。
ロスに夜遅く到着した。ホテルの予約はない。空港から見える一番近いホテルに、暗闇の中を走って飛び込んだ。寝ぐらを確保してホッとしたのだが、宿泊料金の高さにめまいがした。
翌朝から「アメリカ一周1人旅」が始まり、まずは軍港サンディエゴへ。「今日は宿泊代を倹約するぞ」と、YMCAに泊まったのが運の尽き。 続く。