多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です
「もうお帰りですか?」と、惜しみを込めて言いたくなるような、短い今年の秋だ。
一方で短い秋を歓迎している植物もある。
先日法務で埼玉県上尾市に行った。
何時もの通り早くに着いて、会場近くの公園で時間調整をしている時に、20メートル先の花木が気になった。
樹高が約3メートル、樹幅約2メートル、葉は目立たず白い小さな花が、ポツンポツンと咲いているようだ。
「この時期に何の花?」と、車から出て近づいて見ると冬桜であった。
桜と言うと私達はつい、春の染井吉野の満開をイメージするが、それに比べると、「これが桜?」と思う程地味である。
私が冬桜の存在を知ったのは、30年以上前の京都醍醐寺の庭であった。
「へー、冬に咲く桜もあるんだー」と、感動したことを憶えている。
冬桜とは、冬に咲く桜の総称だが、十月桜、小葉桜、豆桜等々の種類がある。
この桜は変わった性格の持ち主で2度咲くのだ。
10月頃から、蕾の三分の一が約1ヶ月間咲き続けて、残りの三分のニは春に咲く。
この桜は変わった性格の持ち主で2度咲くのだ。
10月頃から、蕾の三分の一が約1ヶ月間咲き続けて、残りの三分のニは春に咲く。
冬桜(特に十月桜)は気温の変化に敏感で、秋の穏やかな気候に促されて花芽を成長させ開花にいたる。
厳寒期には花芽の成長が鈍り、春になると再び動き出して開花に至る。
結果として、開花期間が長くなる。
              
              
            散り際の潔さが評価される染井吉野だが、冬桜は「冗談言っちゃいけね、苦労して咲いたんだ、簡単には散らねーぜ」と言いたそうだ。
そして、付けられた花言葉が『冷静』である。
多くの花々や木々が、葉を落とし枯れて行くのを横目に、深まる寒さの中で凛として咲き続ける。
さて皆さんは染井吉野派ですか?、それとも冬桜派でしょうか?。私は欲張りなので両派を支持します。
最後に湯原昌幸さんの歌、『冬桜』の一部を紹介します。
春に背いて咲くがいい
桜 桜 冬桜
歩いた道を恥じるなと
ただひそやかに 心にそっと
ふり注ぐ


















