お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
先日法務で足利に行った。最近法務のあと家に帰るのが面倒で、かなり近い距離でも泊まる。
家庭に不満がある訳ではない。(笑)。歳をとると些細なことも億劫になるらしい。
「夕飯かー、面倒くさいなー、」と呟きながら 、宿から駅まで歩き、駅前の中華屋さんに入りラーメンを頼んだ。
そもそもが蕎麦党なので、ラーメン屋さんは滅多に入らないが、蕎麦屋さんを探すのが面倒になった。
私より少し遅れて、隣の席に75歳位の母親と、娘さんらしき二人が座る。
やって来た店員さんに、「ラーメン二つと生ビール二つ!」と注文した。
「え、おばあちゃん飲むの?」と、人の勝手を乗り越えて、全く飲めない私は驚く。
「あんな不味い物に、わざわざ金まで払って、、、」などと、沢山の人々を敵に回すような事を、常日頃から感じている私だ。
まず生ビールが二つテーブルにやって来た。
親子でも、「乾杯ー」なんてやるのかなと、興味津々で観ていた。声の発生は無かったが、グラスを軽くカチャンと打ち合い、半分くらい一気に飲んで、「美味しいね」と言う様な笑顔を交わした。
一連の所作が自然で、「お洒落」の語源はこんなところから、と思わせる流れであった。
ビールが飲み終わる頃ラーメンが届けられる。
娘さんは自分のドンブリから、メンマを母親のドンブリに移しだした。
「いい歳して嫌いな物を母親に押しつけてる。」、何て想像していて、メンマがまだ二切れドンブリに浮いていることを発見。
私も暇人で、いつ母親に押しつけるのかと、さり気なく注意をしていた。
すると娘さん、最後の二枚は自分の口にパクリ。
「え、嫌いじゃないの?」
「そっかメンマ好きの母親に、自分のをあげたかったんだね」
「偉い️」
私の涙腺が緩みだして、それを隠すように、伸びきったあんかけラーメンをすするのだった。