お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
雨の日に転んで股関節を骨折、1ヶ月半の入院手術のあと退院した。
この間、沢山の方々から励ましを頂いた。
高校時代の仲間二人が、家族と共に田舎から駆けつけてくれたり、ある友人は、「もう転ばないように」と、雨の日用の滑らない靴を用意してくれた。
高尾山まで「お守り札」をもらいに行ってくれた後輩もいる。本当に有難い事である。
退院後もリハビリ生活をしているが、不自由な体を抱えると視点が変わる。
普段は気にも止めなかった、雑草や小鳥などにも関心が向かう。
散歩路に面した休耕地に、母子草が群生している。別名は御形で、春の七草の一つであるが、「母子草」の響きが好きでいつも気にしていた。
ふと、「あれ何で母子なんだ、父子だっていいじゃん?」。
気になって調べたら、何と「父子草」が別にある。日本人の平衡感覚は素晴らしい。
早速杖を片手に探索に出ると、直ぐに見つかったが、地味な花で人気は出そうにない。
花の世界でも親父は影が薄いらしい。
散策に疲れて休んでいると、目の前をジョギングの若者が走りぬけて行く。
「あの体力、少し欲しいなー」と、杖の柄に顎を乗せる私し。
入院中のリハビリ室で、マッサージをうけながら、
「先生は今何歳ですか?」
「32歳です」
「私は70歳ですが、先生の10年を200万円で売りませか?。明日から私は60歳、先生は42歳でどうでしょう?」
「諸澤さん、嫌ですよ。10年あれば200万円なんて軽く稼げますよ」
で、商談は不成立。
概して杖をつく老人に、皆さん親切である。
狭い歩道で待っててくれる人、店などの出入り口では、先を譲ってくれる人などなど。
先日電車に乗ったら空席が無い。訳もなく杖を後ろに隠してつり革を掴んだら、背後の席の女性が歩み寄って、「どうぞお座り下さい」と譲ってくれた。
健常の時は自分も心掛けていたつもりだが、受ける立場になると情けが身にしみる。
団塊の同士の皆さん、歩行中は歩く事に集中しましょう。️