お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
サンディエゴからメキシコ国境沿いの街、テキサス州エルパソに向かうバスの中で、ひとり旅の女子大生とアメリカに写真を撮りに来た男性4人グループと仲良くなった。
語学の武者修行に来て、日本人と遊んでいては意味が無いが、流れでそうなってしまった。
ガイドブックから安いホテルを探し、6名でチェックインしたまでは良かった。
ツインが三室で、さあ部屋割りが大変である。話し合いの結果、人畜無害、毒にも薬にもならない風貌の私に白羽の矢が当たり、女子大生と同室になってしまった。
「俺、金は有るから他のホテルに行く」、との言葉を呑み込んで、お金は無いが夢を大事にする、日本の若者達に協力することにした。
とは言っても若い女性との同室である。可能な限り2つのベッドを離して、身を守ることにした。が、安ホテルでのこと、必要十分な距離(?)は保てない。イライラを隠して冷静を装うも安眠には至らず、エルパソの夜は更けていった。
武士道を全うして迎えたテキサスの朝は、寝不足のわりには清々しい。(笑)
全員連泊だが、それぞれの目的に従い自由行動となった。カメラマングループは、白い砂丘の写真を撮りに行くと言う。私も砂丘に興味が湧いたが、当初の計画通り「カールズバッド洞窟群国立公園」に行くことにした。広大な洞窟に沢山のコウモリがいるだけで、特別な目的理由は無い。結果、ただひたすらテキサスを走り抜ける、往復8時間のバスの旅となった。
ホテルに戻り仲間たちと、国境をこえてメキシコで夕食をとることにした。
とあるレストランに入り、「さて、何を食うか?」となったが、お約束通り全員メニューは読めない。
今も昔もずっと料理に興味の無い私だから、目をつぶって人差し指でコレってやれば良いものを、「語学研修の旅」の意識が蘇った。
悪戦苦闘しながら何とか注文して、最後の「ブレッド」が伝わらない。何回かの押し問答のあとウエイトレスさんが、「パンですか?」って。「そのまんまじゃん、早く言ってよ」、とは思っただけで、彼女に伝える単語は見つからなかった。(続く)