お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
常日頃から同年代の友人達に、「風邪と転倒は要注意」と説いていたのに、ミイラ取りがミイラになった。
3月7日の雨の日、躓いて転び股関節を骨折し、緊急入院手術となった。
手術はピン2本で骨折部を繋ぐだけで、1時間も掛からずに終わった。
局部麻酔だっので、ドクター同士の会話が聞こえるし、手術の映像も見える。気持ちの良いものではないが、後学のためにしっかり見た。
翌日からリハビリが始まり、「全体重をかけて良いから歩いて下さい」と、平行棒の中に入れられたのには驚いた。
ある日、リハビリ室のベッドに横たわって隣を見たら、お袋が寝ていた。
「何だ迎えに来たか」と、一瞬ドキッとしたが、世の中には似た人がいるもんだ。
人間誰しも70歳位になれば、病気の一つや二つは抱えるものだが、私は仲間から病気のデパートと揶揄される程多い。入院も今回で6回目で、病院生活もかなり慣れてもいる。
「ベッドの上でのおシッコは?」との看護師さんの問いに、私は「お任せをを」と胸を張る。
20年前の腰痛破裂骨折による、1か月半絶対安の経験が活きた。
寝たままの食事は箸が使いずらいので、ご飯はおにぎりを希望し、オカズも全て手づかみで食べていた。 その光景を見た看護師さんから、
「普段からそういう生活何んですか?」と。
「そんな訳ないって」
病状が改善して、各自食堂に集まっての食事になった。リハビリ専門病棟だが、様々な病状の患者さんが集まってくる。
自力での食事が無理な方には、看護師さんが補助してくれるのだが、毎夕食事時に来院して、母親の隣で座り続ける娘さんがいる。奥さんに前掛けをつけて介護補助する旦那さんがいる。思わず涙腺の緩む時間帯である。
入院の度に感ずるのだが、看護師さん達の献身性には、本当に頭が下がる。賃金労働者としての、「仕事だから」では括れない。
献身性にはきちんとした、報酬の裏付けが必要である。
そうでなかったら遠くない将来、痛い痒いの治療のみに終わる時代が来るかも知れない。