多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
夕方の散歩コースにある畑の角に、ひまわりが植えられている。
そのひまわりは大きくて高さが5メートル、花の直径は30センチもある。
それに比べて、我家で家族が植えたひまわりは、高さが10センチ位しかなく、品種改良された矮性種である。
大型花も小型花も人の手による改良種が多い。
皇帝ダリアは6メートルの高さまで成長し、「皇帝」
と崇められる。
私の愛する桔梗に、3メートルを越す新種が現れて、20センチの花から見下ろされたら閉口だ。
改良好きな皆様、どうか桔梗には手を出さないよう、お願い致します。
姫百合に大型種が登場したら、
「夏の野の 茂みに咲ける 姫百合の
知らえぬ恋の 苦しきものぞ」
何て歌はもう口ずさめない。
ひまわりは北アメリカが原産で、食用として広く栽培されていたようだ。
咲く時期と向日性が相まって、夏の花の代表格である。
太陽の動きに合わせるメカニズムが面白い。
太陽の光りが当たる、茎の表側と裏側の成長速度の差が、花を回してゆく。
光の当たりが弱い茎の裏側の方が、成長が早いと言うから不思議である。
花にも都合が有るのだろう。
「誰れのために咲いたの、それはあなたのためよ」
昭和49年にヒットした伊藤咲子さんの、『ひまわり娘』の一節だが、
「誰れのために咲いたの、それは自分のためよ」と替えて、時々ギャグとして使うのだが、元歌を知らない人が増えて受けない。
花はただ一途に自分のために咲き、人間は自分達の都合で、大小の改良品種を生みだす。
そしてひまわりには、『貴方だけを見つめている』との、花言葉を贈る。
先師千利休は、「花は野にあるように」と言っている。