お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
前号の好きな花桔梗に続き、りんどうについて書きます。
小さい頃の話である。
♪りんりん りんどうの花咲くころサ
姉サは馬コでお嫁に行った
りんりんりんどうは濃むらさき
姉さの小袖も濃むらさき濃むらさき
ハイノハイノハイ ♪
(「りんどう峠」 歌 島倉千代子)
この曲が村に流れると、おばさま達が三々五々家から出て、川の横に停められた車に集まってくる。
日常品や食料品を積んだ行商の車である。村にも2、3軒の店は有ったが、忙しい農家にとって、家近くまで来てくれる行商は重宝だったろう。が、お袋の姿はあまり見かけなかった。
不思議なものである。この歳になっても、突然この曲が頭の中に流れて、当時の光景が瞼に浮かぶのだ。
西条八十の作詞だが、ハイノハイノハイと合いの手が入る割には、この後寂しい言葉が沢山続く。
次は私の崇拝する舟木一夫の、
「あありんどうの花咲けど」である。
♪さみしく花に口ずけて
君は眠りぬ永遠に
ああ りんどうの うす紫の花咲けど
高原わたる雲あわく
白き墓標は丘の上♪
2番、3番へと更に内容が暗くなる。
こんな暗い歌詞を、若い頃から一生懸命歌っているのだから、明るい性格になる訳がない。笑
私の愛するりんどうは、何故か物哀しい場面で使われる。
「日が短くなり気持ちが沈み込む季節に、咲く事がその理由である」、と言う説がある。
花言葉も、
「悲しんでいるあなたを愛する」で、徹頭徹尾寂しい花の位置づけである。
花屋に並ぶ切り花と違い、野生のりんどうは可憐で清々しい。花のあと赤い実を付ける蔓りんどうなどは、意地らしい位地味だが、私は「寂しい花」と感じたことはない。
頑張れりんどう、私がついている。( ◠‿◠ )