多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
今年は春の訪れが早く、すでに桜は散り始めた。
昔し入学式と桜はセットだったが、今は卒業を祝う花となった。
最も開花時期は場所によって違うので、これは東京に住む私の感覚である。
私の田舎、信州佐久の開花は4月中旬以降なので、卒業式にも入学式にも桜はまだ咲いていない。
私は桔梗、竜胆など紫色系の花が好きだが、ムスカリもその一つ。
ムスカリは球根性植物で耐寒性も強く、植えぱっなしでも大丈夫。草丈は15センチ位、葉は針葉でニラの様な雰囲気。花房がブドウに似ているので、別名をブドウヒヤヒンスとも言う。
ムスカリには強い思い入れがあり、毎年開花を見つけると「今年も咲いたな」と、何故か感動する。
幼い頃から畑の隅に咲いていた、ムスカリを見ながら育ったせいであろう。
今は田舎の家の庭にも植えて、毎春たんぽぽとのコラボを楽しんでいる。
1960年代始め、イラク北部シャニダール洞窟遺跡の発掘調査の際に、幼児の墓の周りからムスカリの花粉が大量に発見された。
この遺跡はネアンデルタール人(約6万年前絶滅説有り)のもので、その結果、地球上で最初に死者に花を供えたのは彼らで、ムスカリは『最古の埋葬花』と呼ばれている。
他にヤグルマギク、ノコギリソウの花粉も発見されている。
ヨーロッパでのムスカリの花言葉が、
『絶望』『失望』『失意』とネガティヴなのは、埋葬花としてのイメージが反映されているのかも知れない。
一方我が国では、
『明るい未来』『通じ合う心』『寛大な愛』と未来指向である。
一見すると正反対の両者だが、その間に「永遠の生命」をはさむと繋がってくる。