多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
NHKの朝ドラ『らんまん』が人気のようだ。
主人公の牧野博士の功績は、以前から承知していたし、時々お世話にもなっている。
我が家の庭先では、今『山法師』が咲いている。
根から水分を吸い上げる力が強く、保水性に富み、春先に切ると水が滴る。こけし作りの材木に最適と言う。
同じ水木科のハナミズキと、見間違える人もいるようだが、山法師の方が開花時期が遅い。
庭、公園、街路樹にと、様々な場所で目にする人気の花木であるが、『山法師』の名前が不思議だ。
『法師』は、言わずと知れた僧侶。
皆さまはこの花を観て、命名の理由を想像できますでしょうか?。
中心の丸い花序を坊主の頭とし、4枚の花びらを白い頭巾と見立てて、比叡山延暦寺の僧侶としたようだ。
命名者の想像力は、何と豊かなことでしょう。
別に『黒法師』と言う植物もある。
多肉植物(アオエニウム)の一種で、別名を『サンシモン』と言い、冬に活躍して夏場は休眠する。
葉色が黒紫で人気の出そうにない、地味な植物である。
毎年は花を咲かせないが、咲いたら株から枯れてしまう、変わり者である。
「咲かなきゃいいじゃん」と思うが、それは人間の勝手だ。
郵便配達員の時代、この花を大事に育てている家人との立ち話しで、花名は聞いたが由来はもらした。
黒衣を身につけて旅する一遍上人の、お姿からの命名
とする説がある。
御名を『掃溜菊』と戴く菊がある。
大正時代に掃溜の近くで新種として発見されて、
この名前がついている。
「ほっといて」と、花の溜息が聞こえてきそうだ。
植物の分類も命名も否定する気は無いが、花は自分の都合で、そこに咲いているだけである。
「よく見れば なずな花咲く 垣根かな」
松尾芭蕉