多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
数週間前に、「『こんにちは、母さん』を観に行きませんか」と、家族に誘われたのだが、「嫌だ」と丁寧にお断りした。
暫くしてほとぼりが冷めた頃、一人で観にいった。
毎週土曜日のBS「男はつらいよ」で世話になってる、山田洋次監督ファンとしては、見逃せない映画ではある。
『サウルの息子』依頼の映画館だから、「何年振りになるだろうか?」、って言うくらい久しぶりだ。
人気が出なかったのか端境期なのか、館内は私を含めて6人だけである。
心配していたコロナ対策上は理想的である。
母、息子、孫を中心に展開される家族内問題に、戦争、リストラ、宗教、ホームレス等の社会問題もしっかり提起されていて、さすが山田洋次監督である。
古き良き昭和の景色を背景にして、「自分らしく生きるために」が、最大テーマとして描かれている。
吉永小百合さんの演技力が相変わらず素晴らしく、小百合ストの一人としては大喝采だった。
小百合さんが演じる母さんが、恋した神父(寺尾聡)さんと、新任地の北海道に行くかどうかが、最終の見せ場である。
「行かないで」と懇願する私は、小百合さんと自分の母親を重ねている。
話しは脱線するが、日本を代表する大女優の吉永小百合さんに、歌謡曲の「奈良の鹿」内で、「糞、糞、糞鹿の糞、、、」と歌わせた人達がいる。
歌わせた方も凄いが、歌った小百合さんの役者魂には脱帽だ。
映画に戻って、
長いこと家を出ていた息子が、実家に戻って母親と暮らすことになる。
墨田の花火を母子が見上げて、映画はラストシーンとなるのだが、爽やかな終わり方にちょっと面食らった。
「俺はきっと号泣する」の予想で、家族の同伴を拒否したのだが、、、。
母を亡くしてからの時間が、随分と流れたからかも知れない。