多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
新年おめでとうございます。
除夜の鐘に見送られて、迎えた元日は如何でしょうか?
昨日は大晦日でしたが、『除日』とも言います。
新しい年を、新しい気持ちで迎えるために、昨年の元日から過ごした365日を取り除いてしまうわけです。
除きたい程の悲しい経験が、後に人生の肥やしとなって、幸せの基になることもあります。
除日の夜を『除夜』と言い、打たれる鐘を『除夜の鐘』と称びます。
「鐘の音が少しずつ小さくなって、消えてゆくのを耳で追っていると、自然に心は落ち着いて、穏やかになる」と言われています。
澄んだ心に煩悩は生まれにくいことでしょう。
正月は『歳神様』をお迎えする行事です。
お迎えするので歳神様は招来神であり、山から降りて初日の出と共に、門松を目印にやって来ます。
歳神様は『穀物神』ですから、正月は農耕民族として、五穀豊穣を願う神事となります。
私達の祖先は、「自然現象の一つ一つに神が宿っている」と考えていたようです。
風は風神が、雷は雷神が起こし、苗が成長して米を実らせるのは、穀物神の力によると考えていました。
私は農家の生まれで、収穫時に『天地の惠』に感謝する意識は有りましたが、人々は何時から正月に歳神様を家に招来して、感謝の気持ちを顕そうとしたのでしょうか?
稲作が始まった弥生時代に、正月は未だ無かったでしょうね。
『おせち料理』の起源は弥生時代に遡ります。
季節の変わり目に、収穫物を『節供』として神に捧げ、その後に料理された物が『おせち料理』の原型のようです。
年末から重箱に料理を詰めて用意しておくのは、三が日位は料理方と、火の神様(竈の神)に休んで頂くためも有ります。
元日に入浴しない地域が有りますが、これも火の神様対策の一つです。
年暮れぬ 春来べしと思ひ寝に
まさしく見えてかなう初夢 西行法師
新年が皆さまにとって、明るく豊かな一年になりますよう、ご祈念申し上げます。
南無阿弥陀仏
令和6年元旦 多聞院 龍譽正俊