多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
3月27日に高校時代の友人と、東京国立博物館の特別展 「中尊寺金色堂」を観に行った。
前日までの大雨が止んで、2人の行いの良さを示した。
高校時代、彼は学校内外に名の通った不良で、私はその第一の子分だった。
不良と言っても硬派で、犯罪を犯す訳ではなく、学校の番長として、時々他校生と喧嘩をする程度のもの。
私は腕力と気が弱かったので、『出入り』の際にお呼びはかからなかった。
そんな彼が遠方から日帰りで、『中尊寺展』を観に来るのだから、人間は変われるってことだ。
当日は、信州からのお上りさん(今は死語か?)と、上野駅公園口で待ち合わせた。
57年前に、夢を抱えて降り立った上野駅は、すっかり様変わりして、『ああ上野駅』で歌われる、「何処に故郷の香りをのせて、、、」の、匂いは感じない。
それでは自分でと、青春歌謡や学園ソングを聴きながら、彼の到着を待った。
開館と同時に入ったが入場制限にかかり、人気の高さに驚いた。
仏像は、阿弥陀如来坐像、勢至菩薩立像、観音菩薩立像、地蔵菩薩、二天像が展示されていた。
そもそもが信仰の対象なので、ケース内の展示には違和感を感ずる。私見でーす。
私は直ぐに観終わって、東博名物のユリノキの下で休憩しながら、彼と過ごした高校時代と、今日までの様々な出来事を思い出していた。
彼は平常展示も観に行ったようだが、それでも11時過ぎには合流した。
他に東京で行きたい所は無いと言うので、それではと、私の縄張りである浜松町に場所を移して、増上寺、観智院、多聞院を案内した。
浜松町駅から東京タワーを見上げながら、「最初に登ったのは何歳の頃か?」と、取り留めの無い話しをしながら、増上寺に向かって歩いた。
帰りは心配なので、東京駅まで送る予定だったが、「まだそんな老人では無い」との主張を信じて、浜松町駅で別れた。
改札を抜けて人混みに消えて行く、彼の後姿が心無しか小さく見えた。