多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
苦手の一つや二つ、誰しも持っているものだが、私は蛇が大の苦手である。親戚、仲間内でも有名だ。
18歳で田舎から東京に出た時、「東京は暖かいし、蛇はいないし良い所だなー」と、感激したものだ。
あの容姿と動きに突然対面した時、一瞬心臓が止まる気さえする。
最近Facebookに、蛇の動画を投稿する方が、少なからずいる。私は反射的に目を閉じて、画面を
素早く移動させる。
11月4日、先輩のHさんが、蛇を首に巻いた写真を投稿した。
「素晴らしいお友達をお持ちですね」と返信したら、
「紹介しますよ」と返って来たので、丁寧にご遠慮申し上げた。
今度Hさんに会う時は、距離を置こうかと思う。
ポケットに入れているかも知れない。
突然蛇さんに出くわすと、場所や様子がいつ迄も記憶に残ってしまう。
ちょっと脱線するが、
「壬申の乱」は、古代史における最大のロマンと言われている。
ロマンと捉えるのは後世の人々であって、内情は皇族内の権力闘争で、天智天皇の皇子大友と皇弟大海人皇子との、皇位を巡る内乱である。
当時朝廷は近江にあったが、身の危険を察知した大海人皇子は都を脱出し、明日香村経由で吉野に逃げ込む。
朝廷は「虎に翼を着けて放した」と言われるように、反逆した大海人皇子が勝利し、天武天皇となる
この脱出経路の一部、明日香村から吉野宮滝までを、忠実に歩こう️、が私の計画であった。
地元の人に、「止めた方が良い」と言われながらも、
万葉研究会が付けた目印を参考に、道なき道を辿って行く。
舗装道路に出た所で、山菜採りのおば様達が休んでいた。
舗装道路を横切って古道に入った所で、太くて長い蛇が私を待っていた。
「ぎゃー」と叫びながら舗装道路に逃げ出すと、おば様達が大笑いしながら、「蛇が怖くちゃ、山は歩けないよー」だって。
後日、今度は東大寺裏から、柳生の里を目指して歩いた。
「舗装道路は歩かない」が私の拘りで、この時は田んぼ傍の細い道を歩いていた。
私の前を、腰が少し曲がったお婆ちゃんがゆっくり歩いていて、「遅っせえなー」と追い越したら、又大きな彼がいた。
「うわー」と叫びながら、お婆ちゃんの後ろについたのだが、笑われているのが雰囲気で分かった。
奈良大神神社拝殿前に、「巳の神杉」がある。
白蛇が祀られ、好物の卵が何時も供えられている。
嫌われがちな蛇であるが、記紀では神の化身として
崇められることが多い。
小さい頃、蛇を見ると棒を掴んで追いかけ、叩いて殺そうとした。
親父から、「いくら嫌いでも、蛇だって生きものだ。虐めるな」と、時々叱られていた。
今はそんな事しない。
苦手意識が完全に払拭された訳でないが、生物学的には、私と蛇が親戚らしいことを知り、ちょっとイメージが変わった。