お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
東京で、「長野県出身です」と自己紹介した時、軽い軽蔑心を含んで、「長野県の人ってイナゴを食べるんですよね」と、言われることがある。小さい頃から馴染んでいる私達には普通のことだが、都会人には、「バッタを食べる変な人達。」と映るらしい。
小学生時代には捕獲したイナゴを家で茹でて、学校に持ち寄り、それを売って教材費に当てていた。
かつて長野県は教育県と言われたが、それはイナゴ様のお陰でもある。
日本を代表する唱歌「故郷」(作詞 高野辰之博士)は、「兎追いしかの山、、」で始まる。
高野博士の生まれ故郷、信州中野永江村にあった、「兎追い」の行事を懐かしみ詩にしたようである。
ところが、「兎追いし」を「兎美味し」と勘違いしている人が、少なからずいるらしい。
だが「兎追い」で捕まえた兎を、もし行事の後食べていたら、「かの山の兎は美味いぞー、かの川の小鮒もおつだぞー」となって、勘違いも楽しい。そもそもが食料確保のための、「兎追い」だったかも知れない。
「食べたはず」と、色々調べたのだが記録が見つからなかった。
先日帰省した折に弟の家を訪ねた。昔話しで盛り上がっていた時、同世代の弟の嫁さんから、「私の出た小学校では、昔し学校の行事として兎追いがあり、その肉が給食に出た。冬のことで兎に角寒かった」、との証言を得た。「兎の肉を噛んだ時の感触を今も憶えている。」、と言う元生徒もいるようである。
因みにその小学校は佐久市にあり、行事がいつまで続いていたかは不明だが、昭和30年代には存在していたようだ。
情操教育の一環として、小学校で兎等の共同飼育もしていたので、教育現場におけるこの二面性は示唆に富んでいる。
長野県人は逞しいのだ。