多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
今年、東京で初めてツバメを見たのが、4月9日であった。
家族の「今年も来ると良いね」の期待の中、我が家にツバメが帰って来たのは4月16日で、昨年より2週間ほど早い。
今年は桜の開花も早かったが、鳥たちは早めに渡っても、日本に食物は有ると分るのだろう。
直ぐに猫避けのネットを張り、歓迎の気持ちを表した。
2、3日したら、古い巣を放棄して、私が工作した棚の上に新しく巣を作りだした。
「古い巣は壊した方が良い」説があるのだが、壊したら来なくなった、では寂しいので、新築に対応出来る場所も用意している。
古い巣にも別の家族が入って、ニ家族になったら嬉しい。
早起きして、ツバメの無事を確認し、散歩に出かけると、私とツバメの楽しい一日が始まる。
万葉集にツバメを詠んだ歌は一首しかない。
鳥の歌が600首ある中の一首で、ツバメファンとしてはガッカリ。
「燕来る 時になりぬと 雁がねは 国偲ひつつ 雲隠り鳴く」
歌の主役は、どちらかと言えば雁の方だ。
万葉の時代にツバメは、『常世の国』(不老不死の国)から、雁と入れ替わりでやって来ると思われていたようだ。
此岸のこの世で雛を育て、常世の国に帰って永遠の生命を獲得して、また此岸の世に渡って来るのである。
素晴らしい万葉人の感性だ。