多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
本日のタイトル『75歳は一度だけ』は、知る人ぞ知る高田美和さんからの歌『17才は一度だけ』から借りた。✌️
散歩の途中で会うムラサキツユクサが、昨年末まで、寒さに耐えて咲き続けていた。
「一緒に新年を迎えようよ」と話しかけていたが、年が明けて直ぐに、家人によって刈り払われてしまった。
「春になったら」と題して、ムラサキツユクサのことを書いていたのだが、同じ題名のテレビドラマが始まってしまった。
そこでタイトル名を変更した。
そんな経緯で、ドラマの「春になったら」を一生懸命に観ている。
木梨憲武さんと奈緒さんがW主演で父娘を演ずる。
父は癌によって余命3ヶ月を宣告され、死ぬまでにやる事のリストを作り、娘は3ヶ月後の結婚式までにやる事のリストを作り、それぞれが春に向かって必死に生きてゆく。
命が限られた時、人は何を優先して生きるのでしょう。
私は2日後に75歳になる。
先日大学病院で、腎臓癌術後追跡検査の結果を聞いた。
再発も転移もなく、他臓器の血液検査の数値は、ドクターが驚く程全て正常範囲内で、すこぶる健康らしい。
「俺の命はあと5年」と、あちらこちらで言っているが、検査の結果が余りにも良いので、5年位の延長は可能かも知れない。。何て欲張りだしている。
余命5年説も、余命延長5年説も別に根拠が有るわけではないが、老体のムチとしては結構有効である。
「この世は、懸命に生きた方が離れやすい」と、知人は言う。
落語に『死神』と言う噺しがある。
誌面の都合でマクラと本編は省略して、落ち(下げ)だけ紹介します。
死神との約束を破った主人公が、地下の世界に連れて行かれる。
そこで、短くなって今にも消えそうな、自分の寿命のローソクを見つける。
「この替わりのローソクに火を移せたら、お前の寿命は延びるよ」と死神に誘われる。
「消したら終わり、消したら終わり」と、緊張で手を震わせながら何とか成功させる。
寿命が延びホッとしたその瞬間、「ハークション」と大きなクシャミをして、命の火を消してしまう。
話しを少し戻す。
当初主人公のローソクは歳相応の長さだったのだが、死神との約束を破った罰として、老人のローソクと替えられていたのである。
「簡単に約束を破る様な人間は、寿命だけ延びても意味ない」ってことのようで、落語も中々奥が深い。