エルパソ2日目の夜も女子大生と同室だったが、前夜よりは穏やかに眠りにつき、無事に朝を迎えた。次の目的地はヒューストンだが、限られた日数節約のため、バスをやめて飛行機にした。日本人グループと別れて、やっと一人旅に戻れると思いきや、私に余程魅力が有ったか、女子大生はヒューストンへ一緒に行きたいと言う。「旅は道連れ、世は情け」って言うが、物見遊山ならいざ知らず、「旅は断然一人」と私は日頃から思っている。
昔し奈良に入り浸っていた頃、私は薬師寺の薬師三尊に惚れていた。仏様も私を受け入れてくれ、相思相愛の関係であった。私は何時迄もお側にいたいのに、連れが外に出てしまったら、「これ以上待たせてはマズイかな?」と、種々の雑念が生まれて、恋は儚く散ってゆく。
女性が「一緒に」と言ってるのを邪険には断れず、結局機上の二人となった。
ヒューストンについて先ずホテルを決めたが、部屋は別々にして貰った。
「そこで武蔵は考えた」。これから向かうワシントン、ニューヨークは、危険がいっぱいで要注意と聞かされている。なのに彼女は大きいケースをガラガラと引き、私は小さいバック一つで、アメリカ一人旅鉄則三条、「いざ‼️、の為に常に両手を空けておけ」を守っている。
かと言って襲われた時、自分だけさっと逃げたのでは、胸を張って日本に帰れない。
「同胞の女性を見捨てた男」、として成田でマスコミに囲まれるかも知れない。
「情に棹させば流される」とも言うから、流される前にお別れしよーと。
翌朝早く彼女の部屋のドアーの下から、「予定を変更しました、先にまいります」、のメモを差し入れてホテルを出た。ヒューストンに来てNASAも観ず、私は逃げるようにバスでワシントンD.C.に向かった。ワシントンと言わず後にD.C.をつけると、如何にもアメリカを知ってる感が漂う。✌️ 続く。