多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
6月20日、21日と、観智院・眞生同盟主催の『柏崎念仏修養会』に参加した。
コロナ禍で中断していた修養会だが、私は他に二つの目的が有った。
一つは、昔し柏崎郵便局近くで偶然声をかけられて、人生相談を受けたおばあちゃんとの再会。
もう一つは、小学校の修学旅行で訪れた、一駅隣りの鯨波海水浴場を訪ねること。
5年前、修養会に向かう前に法衣を着て、郵便局近くのベンチに腰掛けていたら、通りすがりのおばあちゃんが、「和尚さんですよね。私の人生の話しを聞いてくれますか?」と。
暫く話したあと、「和尚さん、ハグして下さい」の希望に応じて別れた。
同じ時間帯に、同じ場所で暫く待っていたが、再会は叶わなかった。
可能性の低い話しである。
21日の修養会成満後に、鯨波海岸の思い出のホテルに泊まるべく、同級生の数人に尋ねたが、誰もホテル名は記憶していない。
60年以上も昔しのことで無理はない。
有り難いことに、アルバムを広げて調べてくれた同級生もいる。
地元の観光協会に連絡して、ホテル名は判明したが、既に廃業して建物は無いとのこと。
22日に法務が発生したので、宿泊は諦め2時間程の滞在となった。
海岸通りのコーヒー屋さんに入って、地元の人から情報収集をする。
「昔し裏の高台にホテルは有りましたが、道は既に薮となり、たどり着くのは無理です」とのこと。
この位ではめげない私。
昔しと同じ道を登るのは無理だが、大きく迂回して、胸の高さまである草をかき分け、ホテルの跡地にたどり着いて、海を見下ろす。
『蒼海ホテル』の朽ち果てた看板も発見する。
海岸に戻り岩場に腰を下ろして、海を見ながら物思いに耽ってた。
男女2名づつの若いグループが遊んでいる。
男の子が1人私の岩場に近づき、「何をしているんですか?」と、尋ねながら横に座る。
聞くと南魚沼の大学1年生で、看護師になる勉強をしているとのこと。
共通する課題の、『生きる』『生命」などを暫く語り合って、「生き方で悩んでいますか?」と尋ねると、「いません」と明るくキッパリと答えた。
鯨波海岸をあとにして、今はすっかりローカル線となった、信越線本線に揺られながら、ふと気がついた。
先ほどの若者たちは、暮れてゆく海を見ながら、物思いに沈んでいる老人が、「もしや身投げでも」と心配になり、声を掛けてくれたのかも知れないと。
私が岩場を離れて鯨波駅に向かうと、時を同じくして、学生達も駐車場に向かったのは、その所為だったかもしれない。
「学生諸君有難う」
おじいちゃん、もう少し頑張ります。