お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
「どうでも良い」、と言えばそうなのだが、
この件で友人と大喧嘩をした事がある。
「バラと菊とではどちらが綺麗か?」の議論に似て、優劣を決するための物差しが見つけづらい。
「何方が好きか?」であれば、個人の趣向だから喧嘩にはならない。
友人はモーツァルトとバッハの大ファン、私は舟木一夫の崇拝者である。
何となく分が悪いかなと思ったのだが、売られた喧嘩なので買った。
以下彼の主張である。
「クラシックは宇宙や生命を表現する事が出来るし、更には神を讃美する事も可能である。比べて演歌はドロドロした人生や恋愛について歌い上げるだけである。どう考えてもクラシックの方が上だ」
以下私の主張である。
「ふざけんなよ、いい気なお世話だ。人間やってんだから、人生を歌い上げられれば充分だろう。舟木一夫の歌を聴いて胸を熱くし、時には涙し、時には生きる活力が生まれることだってある。
気取んなよ、上も下もねえや」
彼とはその後、離れずくっつかずの関係で終始した。
でも謙虚な私は(?)、「食わず嫌いも良くない」と反省し、クラシックのCDをシリーズで沢山買ってこっそり聴いてみた。結果、肌に合わないものはやはり無理で、今は本箱で眠っている。
何故合わない身体になってしまったのか?。
それは多分育ちあがりにありそうだ。
小さい頃より耳にしていたのは、野良で親父が高らかに歌い上げる三波春夫であり、又ラジオから流れてくるのは、三橋美智也の「トンビがぐるりと輪をかいた、、」、てな歌ばかりである。
中学の音楽の時間に、わざわざ音楽室まで移動させられて、仰々しくクラシックを聴かされた。
嫌で嫌で、退屈で、終業のチャイムをひたすら待っていたことを、今でもしっかり憶えている。こんなことも原因の一つかも知れない。
「クラシックにも演歌にも良いところがあり、その時の心情で選べば良い」
こんなソフトランディングでいかがでしょうか。私も大人になつたもんだ。笑
そもそも私は舟木一夫の曲、歌詞のみで感動しているわけでなく、当時の様々な出来事(思い出)とオーバーラップして、酔いしれているのである。
皆さん、丑の刻に目が冴えて眠れない時は、文化放送午前3時からの「走れ歌謡曲」か、NHKラジオ深夜便午前3時からの、「日本の歌、心の歌」がお薦めでーす。