多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊
です。
型通りのニューヨーク観光を終えて、ナイアガラの滝を目指すべく、JFK空港に行く。
ナイアガラ空港までのチケットを購入して、トイレに入り腰を下ろしながら、バックを足の前に置いた。
扉と床の間が20センチ近くもあり、「アメリカ人に覗かれたら、武士の恥だなー」何て、バカな心配をしていた。
サンディエゴのYMCAは前の扉が無かったので、それに比べたら有るだけましであある。
「前を歩く人の足がよく見えるなー」と外を伺っていたら、その足がピタッと止まって、隙間からスーと手が入って来た。と同時に私のバックを掴んで、外に引っ張り出そうとする。
とっさの事で「ドロボー」と、大きな声も出せずに、必死にバックを掴むのだが、何せ私は取り込み中である。
それでも「トイレの馬鹿力」ってのが有るのか、何回かの引っ張り合いの末に、招かざる客は諦めて去っていった。️
「バンザーイ、アメリカに勝ったぞー」と勝利に酔ったのだが、考えたらバックの中は着替えとガイドブックのみである。
大事なパスポートとトラベラーズチェックは、布製の袋に入れて首から下げ、更に腹巻きの中である。
「もし素直にあげていたら強盗の奴、俺の洗濯物にガッカリしただろうな」と、そのシーンを想像しながら飛行機に乗った。
ナイアガラ空港の観光案内所で、滝近くのホテルまでの行き方を尋ねて、路線バスに乗った。
旅先で路線バスが使いこなせたら一人前である。
言葉が不自由な上に、料金も支払い方法もバスによって違う。目的地に近いバス停をガイドブックで知っていても、運転手の発音が聞き取れなかったら、とんでもない所まで連れて行かれる。
逆方向のバスが直ぐ来れば良いが、田舎、夕方と条件によっては、長時間何もないところで待ちぼうけとなる。
落とし穴がいっぱいでも、異国にきたんだからやって見る価値はある。
私のヒヤリング力が高かったか、路線が単純だったのか、運良く目指すホテル近くのバス停で降りてチェックインした。
周囲が閑静すぎて、町のレストランは捜しずらいと判断して、ホテル内レストランのディナーとする。
翌朝は早起きして徒歩でナイアガラの滝を目指す。別荘地らしき林の中をしばらく歩いて滝に到着する。
「大したことねーじゃん」と呟きながら、「ナイアガラの滝はカナダ側から観るべし」との、ガイドブックの記事を思い出して、国境を越えることにした。
この決定が後に、「行きは良い良い、帰りは怖い」のトラブルに巻き込まれるのだが、続きは次回です。
そう言えば、「trouble」と「travel」はよく似ている。ニ語を合体し和訳すると、「旅の恥はかき捨て」ってことか。