多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
彼岸花の季節である。
最近フェイスブックに、彼岸花の写真を投稿する人が多いし、群生地は観光客で賑わっている。
「白い彼岸花」と紹介する方もいるが、私は「赤い花なら曼珠沙華、、、」を採用して、赤色以外(白色、黄色、ピンク)は、リコリスと認識している。
学名的には赤色もリコリスなので、単に個人的な思い入れである。
今年はお彼岸の中日に、彼岸花について話す機会が2度もあった。
9月23日は観智院の彼岸会法要で、私は法話を担当したが、その際に自坊の墓地に咲いている彼岸花についてふれた。
法要の後、四十九日の法事で訪れたお宅の庭に、彼岸花が綺麗に咲いていた。
家庭に彼岸花は珍しいので尋ねると、故人が育てていたとのこと。
仏前両脇の花瓶には、庭の彼岸花が仏花の中心に一輪づつ、さり気なく活けられていて、ご遺族の故人に対する暖かい気遣いを感じた。
バラ、牡丹、百合などと違い、彼岸花は好き嫌いが分かれる花である。私は、自然が生み出した精緻な造形美として、大好きな花の一つである。
敬遠される理由には
○ 毒性がある
花、茎、根と全体的に毒があるが 、人が触った位では大丈夫。
○ 墓地に植えらる花
土葬の時代、モグラなどが遺体に近づかないよう、毒性のある花を植えた歴史がある。
○イメージの悪い別称が多い
「地獄花、死に花、忘れ花、子捨て花、幽霊花」
などなど。
普通植物は葉がでて、その後花を咲かせるのだが、彼岸花は逆で、突然地中から芽を出して花を咲かせる。葉は花が終わった後姿を現し、春が過ぎると消
えてゆく。
当然、「花は葉を知らず、葉は花を知らず」になるのだが、この状態を不気味と感ずる人もいるようだ。
1000以上も別名があると言われる彼岸花だが、関心が高いことの裏付けでもある。
怖い別名の割には、「再会」、「悲しき思い出」、「あきらめ」など、悲哀を感ずる花言葉が多い。
皆さまは今秋のお彼岸中に、大切な方との再会が果たせたでしょうか?。