お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
今年の8月、高校時代の恩師、中島先生がお隠れになられた。同級生からの連絡で知ったのだが、ご葬儀は既に済まされていて当時を偲ぶことしか出来なかった。
高校三年生の時、「長髪を認めろ運動」が起きた。生徒会の役員であった私は、署名活動の先頭に立っていた。と言っても半分は、クラスの恐い仲間の後押しである。 ある日職員室に呼ばれ、中島先生から「どうして坊主頭が嫌なのか?」と質問を受けた。「他校生に対して劣等感を感ずる。」と答えた私に、先生は暫く黙ったあと、「諸澤な、劣等感ってのはな、そんなことでは解決出来ないもんだよ。社会に出てみれば分かる」と諭すようにおっしやった。
東京に出て社会人となって先生の言葉は直ぐに理解出来、そして身に沁みた。 人生は劣等感と優越感の間を行ったり来たり、揺れる振り子のようなもの。そして確実に時は刻まれてゆく。
卒業から20年以上経った同級会の席で、頂いたお言葉の事を述べて、感謝の気持ちを伝えると、先生は嬉しそうな表情をうかべられた。
合掌、至心十念。 龍誉正俊