お寺の漫画図書館スタッフの酒井正空です。このコーナーでは漫画図書館の蔵書を紹介していきます。今回も引き続き仏教コミックスシリーズの『おシャカさまの最後の旅』を取り上げます。
このマンガの後半ではお釈迦様が涅槃に入られる場面を中心に展開されていきます。お釈迦様は入滅にあたり弟子や信者に最後の説法を行います。「わたしはいつもそこにいて、人々が会いたいと切望するときわたしは出現するだろう」、「修行者は今いるところが、つねに最高の場所だと考えねばならない」とお釈迦様はおっしゃいます。
実際のお経の中では、前者の教えは『佛遺教経』に「如来の法身常に在ましてしかも滅せざるなり。」と云い、また『大乗涅槃経』には「私の身体(法身)は不滅の身体で、壊れない身体である。私の身体は感覚したり、消滅したりする身体ではない。私の身体は世間のもの、そして地水火風から成るものでないが、それらと無関係ではない。私の身体は飲食(おんじき)する身体ではない、教えの集まり(法身)である。」云って、色身(肉体)のお釈迦様は入滅するが、法身(教えの集まり)としてのお釈迦様は永遠にあり続けることを説かれたものです。
後者の教えについてお釈迦様は『一夜賢者経』として「過去を追うな。未来を願うな。過去はすでに捨てられた。そして未来はまだやって来ない。だから現在のことがらを、それがあるところにおいて観察し、揺らぐことなく動ずることなく、よく見きわめて実践せよ。ただ今日なすべきことを熱心になせ。誰が明日の死のあることを知らん。」と詳しくおっしゃっています。
お釈迦様のこのみ教えによって私は、今現にここにお釈迦様がいらっしゃると想い、自分の為すべきことに精一杯向き合っていれば、必ずお釈迦様は時間空間を超えて私の心に現われて常に説法してくださることを確信しています。