お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
お寺に向かうある日の朝、バスの1人席に座り、スマホに原稿を打ち込んでいた。
するとクリップボードが時々目の前に現れては消えてゆく。「何だコレ️」と横を見ると、原因は横に立っている、可愛い女子高生である。
朝提出する宿題をやっているのか、ボードを台にして、スマホから情報を写し取っているようだ。バスの揺れがあるのに、吊り革にま掴まらず、作業に夢中である。イヤーな予感は直ぐに的中して、ボードが私の頭を、コツンとかなり強く打つことに。
自他ともに認める温厚な、私の厳し視線が彼女の視線と交わった。
すると彼女は何を勘違いしたか、ニコッと笑顔を返した。「お嬢さん、ここは笑顔でなくて、すいませんですよ️」、と言いたかったが、笑顔に負けた。
この事件から3日後のことである。
私はお寺に通う日電車も使っているが、どうしても座りたいので、20分程並んで始発電車に乗っている。
私の次に並んだ女性の位置が真横で、違和感を感じていた。
「あ、この娘俺より先に乗るつもりかも知れん。これは見過ごせないので、その時は注意をしよう」と決めた。
電車のドアーが開いたら案の定、彼女はスーと私の横から前に出て乗った。
私は勇気を振り絞って、「順番は守らなきゃ駄目だよ」と注意をした。
「杖をついた老人がモタモタしたら、後ろの自分は座れなくなる」と、危惧したのだろうか?。
「見るからに社会人一年生って感じだが、どうゆう人生を歩むことやら、、、」、何んてことを考えながら、終点までの1時間を不愉快に過ごしていた。
終点に着いて立ち上がろうとした時、先程の彼女が私の方に向かってくる。
「私は無実です!!」と、絡まれのかと身構えていたら、
「先程は駅ですいませんでした」と丁寧に言いながら、私にメモを渡して降りて行った。
そのメモには
「乗車の際に杖に触れてすいませんでした。順番は守ります」と書かれていた。
自分の非を認め直ぐに正す。中々勇気のいることである。「素晴らしい社会人になるかも知れないな」と、
私の気分も一変した。