多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です。
「今までのあらすじ」
中高とサボりにサボった結果生じた、「英語アレルギー」からの脱却を目指して、ある日突然英会話教室に通いだした。
「もう大丈夫」と勘違いして、アメリカ一周の武者修行に旅立った。
ロス、サンディエゴ、エルパソ、ヒューストン、ワシントン、ニューヨークと、あたふたドタバタしながらナイヤガラに着いた。
ナイヤガラの滝をカナダ側から見ようと国境を渡る事にした。
その方が良いと、ガイドブックに勧められただけである。
カナダとアメリカの国境は橋の上で、一応イミグレーションオフィスがある。
「One day sight seeing」で簡単に出入国許可が下りた。
だかこの後に、「行きは良い良い、帰りは怖い」が待っていた。
水しぶきを浴びながら、「すげー、雄大だー。」の感激も、30分しか保たない。
私は元来風景からの感動が鈍い。古里の浅間山に対して、有難いとか綺麗とか感じたことはほぼない。
東京生まれの家族達は、秋の黄金に輝く稲田を見て、「うわー、綺麗ー」と声を上げるが、私は「あーあ、あの後稲刈りが大変だ」と、別のことを考えている。
そんな訳でカナダには30分程の滞在で、アメリカに引き返し、イミグレーションオフィスで入国手続に入った。
係官から何かを問われて、はっきり聴き取れないまま、「ohー、YES」とやってしまった。
さあ大変。事務所の職員が皆んな私に向き、ざわざわしだしたのである。
担当の係官は顔色を変え、「本当か?」と、次の質問が飛んでくる。
ちょっと様子が可笑しいので、今度は「YES」でなく、「pardon」とした。
係官に、「こいつ質問の意味が分かってないな」と理解されたようで、後はスローな事情聴取が始まる。
最初の質問は「何か違法な物を持ち込んだか?」だったようで、身なりと戻りの異常な早さから、運び屋さんに間違われるたのかも知れない。
やみくもに「YES」を発すると、後が大変になるもんだ。w