多聞院お寺の漫画図書館スタッフの諸澤正俊です
東京は桜が満開である。この時期は桜に関係した文書を書くことが多いが、今回は地味にまいります。
石ばしる垂水の上のさ蕨の
萌え出づる春になりにけるかも (『万葉集』 ー志貴皇子ー)
滝近くで芽を出した蕨を見つけて、春の訪れを喜び、かつ、早春の生命の躍動感を表す。
大好きな歌の一つで、春に限らず通年で口ずさんでいる。
春一番で野山を飾るのは、こぶし、ギシャ、たんぽぽ等なのに、志貴皇子はなぜ地味な蕨を歌の題材に選んだのかと、長年疑問に思っていた。
飛鳥時代、都人の楽しみの一つに、「野草つみが」有った。皇子は待ちわびるその行事と重ねて、『早蕨』に一陽来復を感じたのかもの知れない。自説でーす。
蕨を人間が食するようになったのは古く、縄文時代からと言われている。それは同時に、人間はアク抜きの知恵を、古代から持っていたことの証左でもある。
平安時代には既に蕨餅が食べられていたようで、醍醐天皇が大好きだったとの伝承がある。
蕨餅は蕨の根から取れるデンブンを原料とするので、天皇が、「朕は蕨餅を所望するぞ」何て言ったら、家来は野山を這いずり回り大変だったろう。蕨は群生するが葛と違い根が細いので、沢山集める必要が有る。
私の田舎の家は山中にあるので、春には敷地内で蕗や蕨が沢山でるが採らない。
大好きな蛇さんと出会う気がして、草むらに手を入れるのが嫌である。
時々世話になっていた叔母から、「俊夫、蕗を採ってきておくれ」との上意が達せられると、ノーとは言えず途方に暮れたものだ。
余談だが、コブシとハクモクレンの見分け方が、この時期になると時々話題になる。
愉快な方法を紹介します。
「じゃんけん」による判定方法がある。
「から✋になればコブシ、から✌️になればハクモクレン」と言うものだが、言い得て妙で有る。
植物学上の難しい分類方法に依らないところが
楽しい。













